2024/ 02/ 29 (木)

新聞記事から

折々のことば  鷲田 清一

食べるということは生きるということであって、生きる為の行為ではない

 

 食べることは吟味するということでもあって、人間相互の信頼や人生への信念に深くかかわる営みだと、臨床心理家は言う。だから人としてある事態が受け容れられない時に、「いただけない」とか「のめない」、「後味が悪い」と言ったりする。そこには人としての自由が懸かっており、「食べることしか楽しみのない」のはむしろ最大の不幸なのだと。『人間の限界』から。

朝日新聞 2024.2.29

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